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  in  マレーシア〜タイ
     
    憧れの?マレー鉄道寝台列車の旅  
          
 
 
   
 旅行会社が新聞やパンフレットなどで参加者を募集する際、なるべく人の旅心をくすぐるフレーズを考え旅行のタイトルなどに使うものである。一昔前で言えば「常夏のハワイ」、近年では「ロマンチック街道で行く〜」とか「南仏プロヴァンスの旅〜」など様々な人気の表現がある。
私も昔からそういう見出しを目にするとぼんやり旅先のイメージが広がり、私の第七感である旅の感覚『旅覚(りょかく)』が刺激されムズムズしたものだ。「マレー鉄道」という響きにも今まで少なからず刺激され続けて来て、今回ようやく乗車できる機会を得た。実は出発地点を上海やバンコクにせずシンガポールにした理由もそこにあった。アジアの中では数少ない複数の国を結ぶ国際鉄道に乗ってみたかったのだ。


クアラルンプールへ着いて2日目、それほど町の観光範囲が広くなかったので早々に移動しようと思い宿泊地区のチャイナタウン周辺にあるKLセントラル駅へ向かった。ここは4年前に新しくなった駅で国鉄(KTM)をはじめ高架電車(LRT)やモノレールなどが乗り入れるまさに交通の要所である。建設の際に日本企業が関わったのか、何故か英語、マレー語に混じって案内表示に日本語まで書かれている便利な駅だ。


KTMの窓口に行くと、金曜日の夜という事でと空席情報掲示板には満席マークの『×』が点灯していた。ダメ元でチケットブースに並び日にちと行き先を告げると係員のおばちゃんに2秒で『FULL!』と言われてしまった。あまりにも返答が俊敏すぎる・・・

本当に調べてんのかよ??
目の前にパソコンがあるのにキーボードを叩かずに空席状況を確認できるはずが無い。私が以前GWの1週間前に韓国に行きたいと言って来た客に対して行った態度に瓜二つである。どうも怪しい。

疑問に思った私は帰る振りをしてサッと隣の笑顔の素敵な兄ちゃんの列に並びもう一度お願いをしてみた。するとカタカタをパソコンを叩き出し30秒ほどの沈黙の後、
『ん〜すごく込んでるけど丁度キャンセルが出たみたいで1等寝台が上下で2席分だけ空いてるよ。』

キターーーー!出ました『サンポマジック!』 (実際はそんな大袈裟な事では無い)

値段は2等より高いけれどまぁもう1泊するよりはいいし、そう何度も乗る機会は無いのでヨシとしよう。
寝台スペースは上下で値段が異なり下が100円位高かったが、上段だとテーブルとかが使いにくいので下段を購入。クアラルンプールからタイ南部のハジャイまで約400kmの寝台列車で¥3,000ちょっと也。

翌日、出発時間20:10に合わせ40分前に駅到着、夕食がてらマックをテイクアウト。移動日にはなるべくお腹を壊す危険性の少ないものを食べるのが私の旅の掟である。理由はもし下痢になると席を離れる回数が増え盗難に遭いやすいから。お腹のデリケートな私が知らず知らずの内に定めたルールだ。

1等車両の個室に入るとなかなか豪華で、洗面台や鏡なども付いている。

座席の座り心地も良く、後は同室の客を待つばかり。1等は2名個室なので、快適に過ごすには部屋のパートナーが重要である。例えば英語が話せない人と同室の場合は退屈になるし、最も恐れるのはチャイナ系のおっさんでマシンガントークを連打されたあげくにいつの間にか私が寝心地の悪い上段で寝ているなんていうケースもあり得るかも。

ドキドキしながら待っていると、入って来たのはバックパッカーの白人男性だった。  ホッ。
同部屋の彼の名は『ポール』、アイルランド人の29歳で感じも良い。楽しい旅になりそうだ。
第一印象どおりのナイスガイで出発してから夜中まで3時間くらい喋りっぱなし状態が続いた。

会話を要約すると、

・彼は5週間掛けて東南アジアを回っている。
・アイルランドはみんながアイスランドと間違えるので困る。
・アイルランド人は全員酒飲みでヘビースモーカーというイメージが世界では一般的だが彼は煙ダメ&酒少々なので、飲みに行くと『ホントにアイリッシュ(アイルランド人)か?』と聞かれる。
・知り合いのアイリッシュ女性は飲むし吸うしやたら騒ぐのであまり好みではない。
・先日までオーストラリアでワーキングホリデーをしていて、その時同じ語学学校に居た日本人女性に好意を持っている。
・彼は各地で日本人と友達になる機会が多い。おかげで日本に行った時はガイドに困らないよハハハ。

などなどである。

そして男二人で盛り上がる後半戦はやはり女性の話である。
ポールが気になっている日本人女性U子さん(22歳・関西人)は今もシドニーでワーホリ中。
綺麗で気が利いて英語も上手、そしてアイリッシュと違ってやさしい彼女はすばらしい!なんて聞けば聞くほどベタ惚れ状態である。(シャイな彼はベタ惚れを否定)

しかしどうも彼女には日本に彼が居て、この年末も日本から30万円かけて彼女に来たらしく、友達関係も大事なので告白出来ずにいる様子だ。もし付き合っても日本とアイルランドでは遠すぎる、とかなり真面目に考えていた。

今シドニーに居るU子さん! もしこのHPみたらメール下さい!

ポールはいい奴だよ。
本気なんだよ〜!

いい奴ポール。

でも年間8,000人いるオーストラリアのワーホリ日本人で22才関西人のU子さんじゃ判らんわなー。

なんだかんだでいつの間にか睡眠タイム。朝5時半に途中下車するポールを見送る。
私のヘタクソ英語に付き合ってくれたポールはホントいい奴だった。

別れてからメールアドレスを交換し忘れた事に気付きちょっとブルーになっていると窓から朝日が差し込んできた。
朝日に移った列車の影を撮影しようとデッキに移動し、鍵のかかっていない出入り口を全開に開き半身で撮影を試みるも、冷房の効いた車内との温度差ですぐにレンズが曇ってしまう。ずっと開けっ放しではまずいので開けて、レンズ拭いて、撮る!の作業を繰り返し30枚位撮ったが、10分後28枚はボツになりその場で消去。

ホント写真は難しい・・・このままではトップページ『SMILES』の欄もいい写真が無く企画倒れになってしまうかも・・・がんばります。


9時半になると、国境駅「パダン・バザール」に到着。一旦駅のホームに出ると、ホーム内に出国審査所が有り、出国をしてUターンすると帰り道にタイの入国審査所があるという簡単なもので所要10分程度。

列車は1時間停車した為時間が余るが、隣のベンチに座っていたマレー人夫妻とおしゃべり。なんでもマレーシア北部の人はクアラルンプールよりもタイ南部最大の町ハジャイの方が近くて便利な為、今回も1泊2日で買い物ツアーに来たとの事。英語喋れないけどニコニコしてた奥さん(40歳)が印象的だった。

しかしまたしても写真取れず・・・・・( ̄_ ̄;)鬱

列車は再出発し、予定通り?1時間遅れでハジャイに到着。このたび初めての列車移動、楽しく過ごせてよかった。

また旅先でポールと再会出来ることを期待しながら旅を進めていきまーす。



 
2005年3月13日