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  in  中国(チベット)
     
      絶景マヒ!西チベット紀行(前半戦)  
          
 
 
 
 
第1日目 6月30日(木)   ラサ〜ギャンツェ〜シガツェ

ラサ〜ギャンツェ間が工事中のため、なるべく早めに抜けたほうがイイとのアドバイスで朝5:00ラサのユースホステル出発。
のハズが、4:57に起床。 幸先の良い旅だ。
とりあえず1枚!
予定通り(チベットでは30分以内の遅れはセーフなのだ!)5:25に出発。暗がりのポタラ宮横を通り過ぎ一路ギャンツェへ向かう。
今回指名をしたドライバーはこの道20年のベテラン、ラパさん。我々は親しみをこめてラパチョラー(チベット語でラパ兄貴)と呼ぶ事にした。
早朝出発のお陰?で工事の影響全くなし。というか何処を工事してるの??という感じだった。
8:50エメラルドカラーに輝く『ヤムドク湖』付近のナンカルツェで朝食。ココのトイレで久しぶり(10年ぶり?)にウジ虫の大群を見ながら用を足す。昼前には標高5,000mの峠を越え、目の前には氷河が広がってきた。壮大な景色だ。

12:10ギャンツェ到着。まず8層75部屋の巨大チョルテンで有名な白居寺(バンコルチューデ)を入場料25元(正規は40元)に値切って入場。

その後ギャンツェゾン(城砦)見学(30元)。ここには「昔イギリス軍に対抗するもわずか半日で陥落しちゃったよ記念館」があり、そりゃー負けるわ!という武器の数々が見られる。が展望台に登ると街が一望できる。客は我々だけで眺めも良いのでおススメスポットだ。
ギャンツェ・ゾンは皆登らないらしく観光客は我々4名だけだった。
市内のタシレストラン(高い!)で昼食を摂った後、予定を早めシガツェへ移動しテンジンホテルへチェックイン(宿を数件見た後)。ここはネット屋(3元/1h)があり、スピードも快適でよいナイトライフを過ごす。しばらくシャワーが浴びれないので丹念に入浴。


第2日目 7月1日(金) シガツェ〜ラツェ

7:30に起床し、午前中は徒歩でタシルンボ寺見学にする。最盛期には5,000人弱の僧侶を擁した巨大寺院で、大抵のチベタンが家に写真を飾っている『パンチョン・ラマ10世』のミイラが納めてある事で有名。メンバーの内2人は正門の横にチケット売り場があることも知らずに無料で通過、次のひとりは止められ55元を払うが最後の一人はお参りのチベタンにまぎれて突破。まぁチベタンは無料なので55元も払えば十分だろうとの見解でそのまま見学する。 
10世霊塔殿に入ると、眼前に『黄金のパンチョンラマ10世像』が輝く。 興ざめである。

宗教のトップがこんな欲まみれの像を立てていいのか?という疑問を抱くも、「まぁココも中国か・・・」という結論に達してすぐに立ち去る。
チベタンカフェでジャンガーモ(チャイ)を2角(3円)で飲んだ後12:30ラツェへ出発。
16:30ラツェのファーマーズホテルにチェックイン。ここでアリまでヒッチを敢行中の日本人二人組と出会う。彼らはもうココに来て3日目だが全然車が捕まらないらしい。ラツェから2km先(以前より少し手前に移動)にある検問がネックでチベタンが乗せたがらないとの事で、精神的にかなり凹んでいた。。悩んだ末ランクルを選んで良かったなー、と再認識する。ココはものすごい田舎だがネット屋(6元/1h)を発見する。
宿近くにある「成都飯店」で夕食を摂るが、ここは旨くて安めなのでおススメ。中華料理は「成都飯店」か「正宗川味」という店に入れば大体味で外れないようだ。

第3日目 7月2日(土)  ラツェ〜エベレストBC

朝8:00出発。すぐにラツェ郊外の検問を通過するが、パーミットのチェックは無くドライバーと係員の世間話であっけなくパスする。ラツェ〜シェーカルはずっと工事中で道がグチャグチャだった。もし雨が降ったら難所になるだろう(実際国境に行く時は雨で2回スタックした)。
12:00シェーカル付近に到着し、エベレストBC(以下EBC)のチケットを購入。昼食後シェーカルを出てすぐに検問を通過、ココは厳しいようでラパチョラーが全員のパスポートとパーミットを持って事務所に入っていった。中尼公路をEBC側に別れてすぐ今度はEBCチケットのチェックポイントがあった、係員がおらず普通に通過できそうだったがわざわざ係員を呼び出してチェックしてもらう。結局EBCチケットのチェックはココだけだったので上手くやれば通過も可能だろう。(実際にEBCで出会った香港人は途中でツアーランクルをヒッチし入山料なしでノコノコ見学していた。彼女はバス代80元もタダ乗り!強者です。)
5,150mのパンラ峠を通過した後、20回くらいの下りのヘヤピンカーブが見え、カーブは砂埃が入るから面倒くさいなーと思っていると、おもむろにラパチョラーは道をショートカットしヘヤピンカーブするような下り坂を真っ直ぐ下り始めた。

ボッコボコの急坂ををランクルならでは(古いけど)の快走で突破、ジェットコースター気分を味わう。(ココで我々が歓声を揚げた為、ラパチョラーが調子に乗って翌日もゲキソウコースを度々選び2日後にパンクする事になる。)
峠には大抵ゲートがある。何故かは不明。
16:00EBC手前30km地点でEBC用バスに乗り換え(80元往復)、現地民の村をいくつか越しながら17:00にロンボクゴンパ(絨布寺)に到着。ここからEBCまでは7kmあり、馬車かバイクか徒歩になる。気持ちが高ぶっている我々は迷わず徒歩を選んだ。残念ながら目の前にそびえるはずのエベレストは曇っていて見えず、見えた時の写真をみながらエベレストの雪解け水が流れる川沿いを2時間掛けて歩く。たかが7kmだと思っていたが、5,000mで登り道がこんなに辛いとは思わなかった。
天気は曇りのまま19:10EBC到着。宿は色々見た結果最初に声を掛けてきた「チョモランマホテル」に10元から5元に交渉して泊まる。今までで最安の宿だ!しかし荷物を置きソファー(兼ベッド)で横になると途端に頭が痛くなってきた、多分高山病だろう。20分後には寒気と吐き気も加わってきたので薬を飲み床に就く。
その間にT君はアンモナイトの化石(質は◎)を10元(160円)で宿の主人から買っていた。付近で沢山取れるらしく、籠に大量の化石が入っていた。
夜半になり頭痛が多少治まったので外に用を足しに出ると、今まで見たこともないトンでもない星空が夜空を埋め尽くしていた!今までに見た最高の星空は8月の流星群時期にいった富士山山頂付近だったが、さずがはエベレスト。天の川がどこにあるか分からないくらいの星・星・星。私は初めて『星の数ほどある』という表現を実感する。外はクソ寒いので1度に10分が限界だったが、痛い頭を振り絞って2時半ころもう一度星を見に行った。恐らくコレを越える星空に逢うには宇宙旅行をするしかないだろう・・・と興奮しながら爆睡する。空は晴れていたが真っ暗なのでエベレストは勿論まだ見えず。
ベースキャンプの入り口。

第4日目 7月3日(日)  エベレストBC〜オールドティンリー

6:45起床。高山病の症状は軽くなっていた。1番に起きたのでエベレストを最初に見ようと張り切って外に出るが、雲がかかっていて見えなかった。雲はエベレスト付近だけなので、そのうち見えるかもしれないのでS君と20分おきに交代でチェックする。
8:30頃S君が外でズボンに付いた毛糸を取っていると、、雲の隙間から山頂らしきものを発見!
全員が飛び起きて近くの丘にダッシュで上がる。息を切らして登るが、すでにまた雲が掛かっていて見えず・・・ しかし再度見えることを期待して30分ほどそのまま待機。寒い!
・・・・・
そして「一度宿に戻ろうか・・」と誰かが呟いた頃、再び山にかかった雲が晴れ出したのだった。

ここからは画像でその興奮の様子をご覧下さい。↓
早朝、雲がかかり全然見えず。

おっ、雲が晴れてきた!いいぞっ。

寒い中ジッと耐えその雄姿を待つ。

よーし、もうすぐだ!

見えた!見えたぞ!!あれが世界最高峰!!!

記念写真を撮りまくる。

感極まり何故か裸。この時、気分は『俺のチョモランマ!』

エベレストを征服し、(見ただけだけど)みんな満足したので早々に下山する事にした。
またいつ高山病が来るか分からないし、我々にはカイラス巡礼という次の目標があった。10時頃宿で清算をし、ロンボク寺までの馬車をひとり60元⇒15元まで値切るが、出発まで1時間掛かるというので近くのバイクタクシーをひとり10元(3ケツで2台)で捕まえる。
しかし残り2kmでガス欠。仕方ないので残りを歩くが、エベレストをゆっくり見ながらだったのでかえって気持ちよく過ごす。
再びバスに乗り(帰りはバスチケットノーチェック)45分後、ランクルに乗り換える。そこからオールドティンリーまでは旅行人の地図に載っていない山脈の間の小道(っていうか半分川の中)を走る。デッコボコの道で途中川を6回横切り馬車と8回すれ違うが車とはすれ違わず。
お尻は痛かったがその代わり印象に残る大絶景の道だった。横に広がるのは紫の山、赤い山、灰色の山、U字型に湾曲した巨大な地層・・・ヒマラヤ山脈のど真ん中で見たその景色はまさしく大陸同士が衝突したエネルギーを感じる事ができた。
それまで私が培ってきた「山はこんな感じ」という価値観は見事に更新された。西チベットを旅していると自分の価値観の引き出しが次々に開けられドンドン新しいモノに変わっていく感じがする。この頃から絶景を毎日見すぎて『絶景麻痺』した状態を覚える。


14:50オールドティンリーに到着し、ラサ飯店にチェクイン。シャワーは無かったが井戸の水で髪を洗い、洗濯をする。

第5日目 7月4日(月)  ティンリー〜ドンパ

今日は1日中移動日、この頃からラパチョラーの寝坊が始まる。まぁがんばってるし、我々が早めに起こせばいいことだが・・・
8:10多少遅れてホテル出発、町の外れでラツェで出会った日本人(ヒッチハイク)と偶然すれ違う。どうやら車が見つかったようだ、しかしアリへ行くハズなのに何故ティンリーに??道が違うけどまぁいっか。と旅の無事を祈る。
1時間ほど走りネパール国境へと通じる中尼公路を外れると急に悪路となる。10:30頃シシャパンマ自然保護区ゲートにて入場料を支払う。
雄大な景色が続くが残念ながらシシャパンマ(8012m)の雄姿は見れず。途中真っ青なペンクン湖や塩湖を通過し、今日宿泊する予定のサガに15:00到着。まだ時間が早いので140km先のドンパまで車を進めてもらうことにした。

どんどん先に向かうが、途中で左後方タイヤの空気が抜けている事に気付く。しかし途中の小さな町には修理屋が無かったので何度もチェックをしながら19:15ドンパに到着。
ココのトイレはなかなかだ。入り口の囲いはあるが入ると逆の壁が無く、ヒマラヤ山脈を眺めながら用を足す事が出来る。
勿論ニーハオトイレでたまにチベタンが隣に居るが、ここまで来ると壁ナシももう慣れっこになってきた。

第6日目 7月5日(火)  ドンパ〜タルチェン(カイラス山麓)

ラパチョラー今日も寝坊。7:30出発のハズが7:40になりようやく起床。「まぁレストランでお茶でも出してもらうからゆっくりしてくれ」と言われレストランに行くが、出てきたのは4杯の白湯(さゆ)!!チベタン文化の奥は深い・・・ってナメとんのか!!
8:10出発。すぐに大きな砂丘を通りがかり、写真などを撮る。
砂漠をバックに阿修羅マンポーズ!
昼頃テント村の食堂(テント)で昼食にするがロクなものが無いのでジャンガーモ(ミルクティー)を頼み、後は持参のカップラーメンを食べる。
食後のヨーグルト(3元)を食べていると、「ドンッ」という音がした。外に出るとトラクターが停まっている我々のランクルにぶつかっていた。
後ろの観音扉の左側が開かない位凹んでしまっておりぶつけたチベタンと口論になるが、向こうは全然事の重大さが分かっておらず終始ヘラヘラ笑っている。「だって俺、金なんて持って無いもんねー」と言った感じである。賠償保険なんて知らないだろうなー。
必死に交渉してなんとか示談金をGETしたが、なんと100元(1,300円)!これじゃあさすがの中国でも修理には出せないだろう。
ラパチョラーも「金を貰えただけマシ」という顔をしていた。結局凹みは自分で中から打ち出しをして直す事に・・・
ぶつけたおっちゃんははじめ笑って誤魔化すが・・・
14:20頃、マユム峠の手前20km位の場所に旅行人チベットに載っていない公安検査場がありパスポートチェックがあった。まだ出来たばかりなのだろうか、横に商店と招待所(宿)を作っていた。
19:15「神山」という看板をくぐり、カイラス山の麓タルチェンに到着。宿泊代が高いと聞いていたが、チェクインしたYAKホテルは30元(ドミ/ひとり)と意外に安かった。

2つ隣の部屋に日本人パッカーを発見、丁度今日カイラスを3日間で回ってきたらしく情報をもらう。しかも同じ宿を25元で泊まっているらしく、交渉力の差を感じ少しヘコむ。
夕食に近くの店「山東水餃」に行くが、思いのほか美味しい料理が出てきた。注文してから買出しに行くので料理が出るのは40分後だが、久しぶりのまともな中華料理にホッとする。明日からのトレッキングに向けて準備は万端だ。

後半に続く



 
2005年7月14日