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TOP > 世界旅行記目次 > 旅行記27 ダージリン | ||
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ブータンを後にし、一路ダージリンに向かった。 ダージリンはインドというよりもネパール近くに位置し、標高2100mの高地にある世界的に有名な紅茶の産地だ。 そう、日本でもお馴染みの「ダージリンティー」はここで作られている。実は社会人になる前、私はダージリンティー=イギリスのお茶だと思っていた。イギリス=紅茶というのはあくまでイメージで、あそこは生産ではなく消費するだけの国であることを知ったのは最近になってから。 ここの魅力はお茶だけでなく、昔からコルカタ(カルカッタ)に首都機能を置いていたイギリス人達の避暑地として発展した事から、西洋風の建物が多く見受けられ雰囲気もどことなく西洋風ないい感じの街であることだ。さらには最近日本メディアでやたらと特集されている、世界遺産指定された「トイトレイン」なるものも観光の目玉になっている。 どちらかというと私は、『ダージリンでお茶してます』というフレーズが頭に浮かび、そんな一言が言いたいが為に来てしまった要素が高いかなりミーハーな旅行者である。 本当はブータンに行く前にダージリンへ来たかったのだが、目的のひとつであるトイトレインの予約が取れなかった。 トイトレインとは麓の町ニュージャルパイグリからダージリンまでの約90km、標高差2,000mを実に6時間半掛けてゆっくり運行される高原列車で、軌道の幅が610mmしかなく(インドの通常ゲージ幅は1676mmか1000mm)車両がとても小さいことから「トイ=おもちゃ」という愛称がついている。 何せ車両が小さいのでひとつの車両に椅子が15席しかない!さらに一回の運行車両がせいぜい2・3両編成で一日一往復しか運行しない為、単純計算すると45人の予約でその日は満席!となってしまう。 これではとても世界遺産目当ての観光客を処理できるハズはない、予約は常に一週間後まで満席といった状態である。 事前にそんな計画性を持っていない私はチケットを買える筈もなく、ダメモトで当日ホームに行き、「次の駅まででイイから乗せて」と言ってみたが、無常にも世界遺産は私の視界からガタゴトという音とともに消えていった・・・ 結局先にブータンを目指し、暫く続いたカレー三昧地獄(本質的にはカレー好きな管理人)から解放されたい一心で、逃げるようにダージリンへ到着。道中は当然トイトレインではなく、シリグリという麓の街から乗合ジープで移動。列車では6時間以上掛かるが、ジープだと3時間強で着いてしまう距離だ。 トイトレインの軌道は常に車道のすぐ横にあり、視界的には車で行ってもトイトレインに乗った時と同じ風景が楽しめる。段々登るにつれ素晴らしい景色が広がってきた。山の中腹で日没を向かえ、夕日の沈むインドの平野を一望しながら車は進んでいく。その景色は三島市側から国道一号線を登っていった箱根峠から見る景色に似ていた。 ちょっと分かり難いかな・・・ ダージリンの第一印象は、『寒い!』 それまで居た日中30〜35度だった場所から一気に夜は10度以下の世界に放り込まれてしまった。泊まった宿はいい雰囲気のところなのだが、お湯が使える時間が決められておりその日の20時にチェクインした私は既にタイムオーバー。さすがに気温10度で水シャワーを浴びる勇気もなく、「寒いで汗なんてかかんわ!」という理由をつけ汗臭い体を無視し、そのまま就寝・・・ 翌朝は6時に起きて最上階のレストランへ。いよいよ目的のダージリンティーを注文する。まだ雨季が明けていない時期だったが、窓からは何とヒマラヤ山脈の雄、「カンチュンジュンガ(8,586m)」が見えるではないか!!隣で飲んでいた西洋人は4日目で初めて見えたらしい。相変わらずの「晴れ男」振りを発揮してしまった。( ̄ー ̄)フフフ 山の写真を撮っているうちに紅茶が運ばれてきた。特に変哲もない一杯8ルピー(20円)の紅茶だが,何となく気品に満ちているように感じるのは私だけだろうか? 一口飲んだ感想は、 「ウマイ!」・・・ 何がウマイかは専門家では無いのでコメントを控えるが、とにかくウマイのだ。別に他の場所で飲んだらタダの紅茶だったとしてもウマイものはウマイ!所詮は自己満足の極みだが、ダージリンで飲む紅茶はウマイのだ〜!! ![]() ※ただ実際には、高級な上質な部分のお茶は輸出用に出されてしまう為、地元ダージリンで消費されるお茶は「余りモノ」である事は結構有名な話である。よほど高級なレストランに行かない限り最高級のお茶は飲めないのだ。 超自己マンの時間を終え、次にするべき事は勿論「トイトレイン」の乗車だ。取りあえず駅に向かってみる。 終点駅のダージリンは小さな駅だ。その小さい軌道は普段庶民の歩道として使われているようで、下の村から軌道上を地元の人々が上がってくる。しかし実際に見ると本当に狭いレールだ。 ![]() 駅の隣に車庫があり、丁度機関車が整備中だったので写真を撮る。トイトレインだけあってその蒸気機関車は可愛らしく青く塗られていた。一部の情報では2000年で蒸気機関車は廃止され、すべてディーゼル機関車になったと聞いたが、ディーゼルになったのは一部の麓の区間だけのようだ。 ![]() 切符を買おうと窓口に行くが、そこはインド式で改札がひとつしかなく10時〜14時まで。トイトレイン以外の区間の予約センターも兼ねているので行ってみると20人以上の人が並んでいた。インド人は切符の購入が異様に遅い為、購入までにだいたい一人5〜10分の時間を要する。これだけ並んで居ると2時間は固いので、だんだん気持ちが萎えてきた。 並ぶのをやめ、運行表などを見ていると、トイトレインには3種類の運行パターンがあることが分かった。 一つ目は前出の麓町〜ダージリンルート。6時間半で1等席247ルピー(約640円)。 二つ目は「ジョイライド」という観光客用のダイヤで、約1時間半掛けて近くの駅を往復してくる。それでも240ルピー(約620円) 三つ目はローカル列車でダージリンから30kmだけの区間を地元民の通勤通学用に運行しているようだ。6〜12ルピー。 私が選んだのは勿論三つ目。何せ一番近くの駅(8km・30分)まで行って6ルピー(約15円)である。 この料金差を見てしまうと600円だすのが馬鹿らしく思えてくる。多少汚くてもインドだから仕方なし。 ローカル列車は16:00出発で1時間前からチケットが発売される。気合を入れて発売30分前から並ぶと、どうやら私と同じ考えと思われるインド人家族が数組並んでいた。 15:00になり無事切符をGET、窓口の人に「席は予約席?」と聞くが、6ルピーのローカル路線に座席指定があるはずも無く「空いてる席に適当に座れ」と言われる。「列車はもうホームに着いてるから勝手に入ってて」と言われたので早速ホームに移動すると、機関車が連結されていない車両が二つあった。ひとつは一席ずつクッション付のシートが装備されているコギレイな車両、もうひとつは曇った窓ガラスの中に向かい合わせのベンチシートが機械的に並んでいるコギタナイ車両。 私は迷うことなく「もうひとつ」の車両に乗車し一番に席を確保、進行方向の一番隅にある席だ。 ![]() しかしこの選択が後で致命的な誤りであった事に気付く・・・ 15:30になると約半分の席が埋まってきた。「ゴトッ」という音と共に客車と蒸気機関車が連結されたので外に見に行く。 見ると何と通常と反対の方向に連結されていた。機関車が後ろ向きに走るのか? ![]() 私の今までの感性は誤りだったのか?昔我が家に飾ってあったSLのポスターも、実は私の考えていた逆方向に走っていたのだろうか?世界遺産だから特別サービスなのだろうか? いろいろ考えを巡らしたが、私の結論は「まぁインドだからどっちでもいいか・・・(´∀`∩)」であった。 15:40になり、自分の座っている隣の小部屋がトイレだった事に気付いた。 何故気付いたかというと、おっちゃんが入って用を足したから。止まっている列車の「垂れ流し方式」のトイレで・・・ 当然のことながら、私に「流れ香」が臭ってくる。 「座る席間違えたかな・・・」 さらには下校する小学生軍団がわんさか入ってきて、全員が座れない彼らは当然スペースの広い入り口付近(私の前)に溜まり、向かいの席に座っていた小学生とガヤガヤ騒ぎ出した。どこの世界も小学生の無邪気さは同じで、当然周りの迷惑など気にする様子もなく遊びだす。もともと彼らは毎日の通学に使っているのだから自分の家みたいなものだ。16:00の出発時になると扉の無い出入り口からふざけて人を落としあったりしている。 中央付近に座ったインド人家族がやたら楽しそうに見える。私の周りには10数人の密集したガキンチョ。「やっぱり席間違えた・・・」 異臭と騒音で旅情緒どころではないが、そこは「ローカルトイトレイン」。これが現実なので、全てを受け入れて体験するもの旅情緒である。 隣に居る3cmくらい鼻水を垂らしたガキの視線を感じながら列車は出発した。 ![]() 「プォ〜〜」っという蒸気の音を立てながらゆっくりと進むトイトレイン。 進みながらたまに車内に入ってくる蒸気や民家スレスレを通る視界は乗らないと分からない独特のものだろう。初めての蒸気機関車にちょっと興奮する。 速度は、はっきりいって遅い。1kmだけならまず私が走ったほうが速い自信がある。 例えると「小型の折りたたみ自転車で走る速度」くらいだろうか。ただ、速度がゆっくりなだけ通り過ぎる人々の表情が見れて面白い。 列車は民家が近づく度に蒸気で「プォ〜〜」っという音を出すので、通り過ぎる人の多くが手で耳を塞いでいる。 行き交う子ども達は列車内に外国人が居るのが分かると手を振ってくれる。 スピードが遅いので、乗っている子ども達は自分の家が近づくと駅を待たずに次々と飛び降りていく。慣れたもので、やや前に飛んでからうまく進行方向に走ってスピードを調節し、そのまま家に入っていく。よっぽど私も「世界遺産飛び降り下車」をしたかったが、次の駅も見たいので我慢。 名物の立体ループ(バタシア・ループ)を通った後、発車してから約30分後目的の駅に着く頃には10人くらいの子どもが減っていただろうか。途中から走りながら乗ってくる人も居るので総数はあまり変わっていないが。 列車から降りてみると改めてその小ささが目立った。なかなか出発しないので車体の写真を撮りまくる。 降りた駅からはダージリン駅までは乗合ジープで15分・10ルピー(26円)。 たった30分・6ルピーの旅だったが現地に生活する人々の日常を垣間見る事ができた貴重な列車の旅だった。 ![]() |
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2005年10月8日 |
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