TOP > 世界旅行記目次 > 旅行記28 プッタパルティ
   
  in  インド
     
         サイババタウン訪問
 
          
 
 
 
 
南インドの「IT先進都市」バンガロールからバスで約160km北北東へ行った山奥にプッタパルティという小さな村がある。
デカン高原東部の標高500mに位置し、周りは一面に広がる大自然、いわゆる
『ド田舎』である。
バスで揺られること4時間、道路が舗装されている事が不思議な位の山奥に突如ピンクの大宮殿が現れた。
まるで宮殿のようだが・・・。
ココがインド最大の観光地?いや巡礼地!サイババタウンことプッタパルティだ。
宮殿の正体は何と病院!パッと見はディズニーランドの新アトラクション施設かと思うが、造りはしっかりして威厳さえ感じる建物だ。

そう、ここは大いなる指導者サイババの町。町全体がピンク・水色・クリーム色の3色を主にした建物で溢れており、サイババの恩恵を受け大変潤っている特別な地域なのである。
私はこの町に来る為に南インドに来たようなものだ。ココに来れば生サイババが見れるらしい・・・そんな情報を昔あるWEBサイトで見たときにはちょっとした興奮を覚えたものだ。

「サイババ」と聞いて、あまり興味が無い方もインパクトのあるキャラクターは見たことがあるだろう。
そう、↓
彼である。

サイババといえばひと昔前日本でもテレビを賑わせた。素手からイキナリ灰を出したり、指輪を出したり、悪性の病気を持つ患者からメスを使わずに患部のみ(鶏肉みたいなモノ)を取り出してしまう超人(聖者)である。もっともそれらの行為には一抹の疑問が残るが、あの強烈な個性で一世を風靡した事は間違いない。

彼はインド南部の超田舎にあるプッタパルティという小さな村を本拠地にしており、そこにアシュラムという道場(修行場)を構えている。小さな新興宗教ならそれで紹介は終了なのだが、あまりにも偉大すぎる聖者がいるお陰でこの小さな村はその僻地性にも関わらずものすごい発展をしているのだ。

あらゆる所から集まるお布施(寄付)により、その巨大なアシュラムの敷地中には約3,000人収容の大ホール・サイババ御殿・宿泊施設(ホテル並みの施設〜ザコ寝場までが団地のように建ち並ぶ)・巨大食堂・スーパー・本屋・病院・銀行・警察・郵便局・博物館など、外にでなくても生活していけるだけの設備が整っている。しかもそのどれもが前出のピンク色・水色・クリーム色でできているのだ!コレは恐らく非日常感覚を引き出しているのだろうが、インド人の趣味はどうも分からん・・・

さらにアシュラムの周りには同じ色をした学校・ミュージックホール・病院などが点在しており、何とサイババ用に空港まである!もちろんインド中・世界中から集まる信者(ごく一部は私のような冷やかし観光客)をターゲットにした街が広がっており、ホテル・レストランやサイババグッズ専門店なども軒を連ねていて活気に溢れている。

そう、ここはまさに『サイババタウン』なのだ!ココまで来るとサイババはホントの聖者なのかと思ってしまう。
というのも、ココに来るまで私も多くの日本人が恐らく思っているように、サイババはエンターティナーの要素を持ったちょっと有名で派手なオジサン、どちらかというとインド版イリュージョニストかと思っていた。
ぶっちゃけ、善悪でいうと後者に近い印象を持っていた。人前で派手なパフォーマンスをして寄付金を稼ぐ・・・みたいな。
しかしその思いはココを調べるにつれ次第に変化していった。

アシュラムには世界中から信者が集まり、そこにはしっかりした信仰があった。そして修行の為多くのボランティアが活動をしており、この街の学校・病院は必要な人々に対し何と無料でサービスを受けられるらしい。サイババのお陰でこの町は他のインド各地と比べ断然潤っているのは間違いないだろう。

ひょっとしてサイババっていい人?

そんな気持ちの変化を感じながらサイババタウンに到着。

バスターミナルを降りると徒歩1分でアシュラムの入り口に到着、外国人はまず宿泊する為に外国人登録を行わなければならない。
アシュラム内には青や白のスカーフを付けたスタッフが沢山おり、質問をすれば親切に教えてくれる。
指示通り入り口から荷物を持って10分ほど歩いた宿泊施設の一角に登録所があり、パスポートチェックや顔写真の提出・アシュラム内での規則などを読む。
◆アシュラム内は写真撮影禁止・禁酒・禁煙、常に静かに行動し大声を出さない、21時消灯、などなど・・・ここが単なる観光地で無い事を再認識させられる。
青いスカーフが目印。ちなみに撮影禁止なので隠し撮り。

事前情報で、ココではかなり値打ちにキレイな施設に泊まれるらしいと聞いていたので期待していたのだが、それは主に家族・夫婦・VIP用であり、独り者の私は有無を言わさず外国人用ドミトリーに放り込まれてしまった。。。
ココにはVIP用の高級ホテル並み施設から、インド人修行用のザコ寝施設(収容所みたい)まであり、私が泊まったのは収容所よりちょっとはマシな50人位のドミだった。
薄暗い建物の中には汚いパイプベッドと洗濯物・蚊帳などがズラッと並びお世辞にも清潔とは言えない。やはり修行用なのか。


一番困ったのは貴重品管理。
毎日朝と夕方の2回、大ホールに信者が集まり集会(ダルシャン)がありそこでサイババと会えるのだが、ホールは厳戒態勢で最低限の貴重品以外持ち込み禁止(バッグ・カメラ・ビデオ・その他電子機器類)で、空港にあるようなセキュリティチェック機材が設置されている。
にもかかわらずココにはロッカーといった類のものが無いのだ。集会時にはドミがカラッポになるので泥棒さんがいれば絶好のチャンス。最低限の貴重品はいいけど、モバイラーの私には酷な話で係りのおっさんに言っても、「ノープロブレム。ココは聖なるアシュラム内だ!」という。クロークのような所があったけど、パソコン機材担いでドミを出るのも「私貴重品たくさん持ってドミ泊まってま〜す!」と言ってるようなもんだし、荷物の出し入れもみんなが同じタイミングで行動するから出し入れしにくいし・・・

よっぽどアシュラム外のホテルに移ろうと思ったが、何よりここは1泊20ルピー(50円)!安いのだ。
まぁ1泊だけならいいか?という甘い気持ちでサイババを信じて過ごす事にした。

サイババに会うチャンスは1日2回。予定表では朝7時からダルシャン(サイババが信者に姿を見せる儀式)が始まり9時にバジャン(サイババが退場する際、サイババを讃える歌を30分以上みんなで歌う)という儀式が行われ午前の部が終了。午後は同じように15時半ダルシャン&17時半バジャンという流れらしい。そのほかにも瞑想の時間や祈りの時間があり、アシュラムの1日は意外に忙しい。

勝手が分からない私は隣のベッドの上にテントを設置して1ヶ月滞在をしている白人から助言を受け、朝6時からダルシャン会場(ホール)へ向かった。だだっ広い集会場の奥には大きなステージがあり、向かって右が女性・左が男性と分けられている。
既に50名以上の信者が座って待機しており私は前から6列目に座った。会場の大きさからすれば前の方なのだろうか?
訳が分からないままひたすら待つ事2時間以上・・・尻が痛い。

いつの間にか会場にはパッと見2千人程の信者が集まっていた。ほとんどの男性信者が白い修行服・女性はサリー、実は私も昨日ひそかに白い修行服を購入しており、周りに溶け込んでいた。中には普段着の人やサドゥー(ヒンドゥーの修行僧)のようなオレンジ色の袈裟を着た人もいるが、みんな静寂を保っている。

時計が8時半を指した頃だった。皆が一斉に前に詰め出し、ギュウギュウ詰めになりながら姿勢を正し出した。
何処からともなくお経チックな音楽が流れる。

その瞬間全員が会場の右奥に注目した。

暫く沈黙があった後、会場の外からゆっくり銀色の車が会場にやってきた。あの中に彼がいるのだろうか?

その車はゆっくり近づいて来ると、何と会場内にまで入って来た!
それほど大きい車ではなく、小型の新車という感じだ。

ふと助手席に目をやると、ア・アフロヘヤーらしきものが確認できる!!
間違いない。彼だ!彼が来たのだ!

車がゆっくり近づくが、まだ50mくらいの距離があるのでハッキリは見えないがオレンジ色の服も何となく分かる。

ん!よく見ると車は何とトヨタ車だ!サイババはトヨタ車に乗って入ってくるぞ!しかしどこまで車で入ってくるんだ?
それはまるでリリーフピッチャーがゆっくりマウンドに向かうかのような感じだ。

やがてサイババカーは女性ゾーンの群集の真ん中を通り過ぎ男性ゾーンにやって来た。
信者達は顔の前に手で三角を作り少しでもご利益を貰おうと歓喜の声を上げたり祈ったりしている。すごい熱気だ。
その信仰パワーに押され私も手を掲げそうになるが、我慢してサイババ観察に集中することにした。

前から6列目の私にはハッキリとその笑顔のサイババが見える!
あぁ、ついに生サイババを見てしまったぁ・・・(*´∇`*)

第一印象のナマババは・・・
小さい!彼は助手席に座っているが、ヴィッツよりひと回り大きいだけの小型車がランクルに見えるくらい小さく華奢な感じだ。やはり年のせいか。
そして、その体に不釣合いな
ドでかいアフロ!コレは半端じゃない。テレビで見た彼よりも一段と頭が大きくみえるゾ!!
ナイナイの岡村にパパイヤ鈴木の頭をのっけた感じだ!

運転手よりも一回り小さいババを連れたトヨタ車は私の前を通り過ぎホールの隅までぐるっと回った後、そのままステージまで上がってしまった。ステージの真ん中で止まった車の助手席が空く。
トヨタ車は特別車らしく、助手席が電動でそのまま真横を向き、なんとその椅子がそのまま車椅子となって出てきた。ん〜、さすがトヨタ車。

サイババの全身が登場すると一段と大きなどよめきが会場を包む。どうやらこの時だけは静寂を保たなくてもいいらしい。
後ろのおっさんがグイグイ押してきてウザい。

車椅子を押されながら会場を見て微笑むババ。

さぁ、何を見せてくれるんだ!灰か?灰を出すのか?物質化か?病んでいる信者に指輪を出して元気づけるのか?

・・・・・

ワクワクしながら次の展開を待つ私を尻目にサイババはお付きの信者とボソボソ話した後、ゆっくり奥の部屋に入って行ってしまった。
それまで少しでもババの御身に近づこうと身を乗り出していた信者達も冷静を取り戻す。
気付くとステージの横にはババが入った部屋へ向かって長蛇の列が出来ていた。

あれっ、何もしないの??終わり?物質化とかタメになる説法とかしないの? まさかこれだけ・・・

近くの男性に聞くと、今奥の部屋で面会が行われているらしいが、もちろん私からは何も見えない。
10分後には長蛇の列も20人くらいでストップされ後ろの100人くらいは渋々解散していく。時計は8:50を指していた。

9:00になると音楽が流れ始め、信者もその曲に合わせ合唱をする。どうやらコレがババを讃える「バジャン」らしい。
約10分後にサイババが奥の部屋から再登場した。しかし信者達の中には歌に没頭してババに気付かない者もいる。
やがてババは車の中に姿を消し、そのままゆっくり退場してしまった。

・・・エッ、終わり?(゜ロ゜;

車が人々の視界から消えると、約半数近い人々は立ち上がり会場から出て行く。
どうやらコレで集会は終了らしい。

おいおい、物質化は何処にいったんだよ〜!( ̄曲 ̄)

聞くとババは手足が悪くほとんど歩けず、最近は物質化もやらないらしい・・・
ほとんどの信者はほんの数分間サイババをチラ見するために、毎日朝と夕方の数時間、ジッと会場で座って待つ日々を送っている。サイババのパワーを貰うために・・・
かくゆう私もこのアリガタイちら見の為に朝3時間・夕方2時間の計5時間を費やしてしまった。。。
物質化が見れなかったのは残念だが、トヨタ車に乗って会場に入ってくるサイババが見れたのにはちょっと満足している。





■サイババは2代目■

元々「サイババ」とは彼の名前ではなく、「サイ=聖なる」+「ババ=おじさん」という呼称らしい。で、今のサイババは2代目なのだ。
先代(初代)のサイババは「シュリ・サイババ」といい、オレンジ色のサドゥー姿で右手からレーザービームのようなモノを出している人物像はインド各地で目にする。2代目より派手さは無く質素な生活をしていたらしいが、絶大な人気を誇っていたらしい。
初代は生前から自分の没後に生まれ変わりを予言しており、その8年後に生まれたのが今のババ「サティア・サイババ」。

そして、2代目も自分の死期と輪廻転生を既に予言しており、町のサイババショップには何と3代目サイババの肖像?まで売っているのだ!

今年(2005年)の11月23日で2代目は80歳を迎える。預言ではあと10数年生きるらしい。
左が初代、右が2代目、そして中央が3代目らしいが・・・


■何でもサイラム!■

サイババの信者達は挨拶の時、「サイラム(SAI RAM)!」という特殊な言葉を使う。この言葉は色んな場面に利用する事ができるオールマイティーな言葉で、私が2日間で体験しただけでも、

おはよう ⇒ サイラム!
こんにちわ ⇒ サイラム!
こんばんわ ⇒ サイラム!
さようなら ⇒ サイラム!
ありがとう ⇒ サイラム!
失礼します ⇒ サイラム!
座ってください ⇒ サイラム!
静かにしてください ⇒ サイラム!
並んでください ⇒ サイラム!
チップをくれ ⇒ サイラム!
(物乞いが)1ルピーくれ ⇒ サイラム!

という具合である。もはや言葉の壁を超えた偉大なコミュニケーション手段である。

もしもサイババが日本で生まれていた事を想像すると、

牛丼大盛ツユダク1丁! ⇒ サイラム!!
ビッグマック+ポテトL+コーラMをテイクアウトで ⇒ サイラム!!!

という事になりかねない恐ろしい言葉でもある・・・  ⇒ サイラム!
さいらむ。



■蔵出しポストカード■

サイババタウンには様々なババグッズが売られており、中には「エッ〜〜!」というものがあったのでいくつか紹介しよう。

その@ 青春を謳歌するサイババ
若き日写真だがなかなかイイ男だ。

そのA ママババ
偉大なババのママはやっぱり有名人。ヤンキース・マツイのパパよりも有名か?

そのB キリストとサイババ
ここで大事なことはサイババ>キリストだという事らしい!ババの方が偉いのだ!預言者同士の対決である。

そのC おまけのババシール
オアトがヨロシイようで・・・




 
2005年10月15日